徹創レザークラフトブログ

ナイフシース完成

高校の同級生からの依頼のナイフシースが完成しました。

そもそもこのマタギナガサという刃物自体がなんだか怖い雰囲気のある代物です。

僕にこの刃物を託してくれた友達がどういう使い方をして来たのか、それより以前にどう使われてきたのか不明ですが、異質な雰囲気を持っていてちょいと自宅のリビングにある事自体が違和感を覚える品物でして。

Bitly

このフクロナガサは、マタギという職種の方々が使うかなりやばい刃物です。
かなり切れ味が良くって、重みのあるもの。
商品としては、杉の木で作られたケースに収めされているもので、握り手も刃先と一体成型された武骨な、まさにマタギが使うような代物です。
ちなみに、依頼してくれた同級生は、ちゃんと狩猟免許を取得して銃で獣を狩猟しているという人。

オーダーとしては、好きにしてくれという事だったので、とりあえずこの刃物を安全に使って貰いたいという事で握りから始めました。

冷たく滑りそうな握りを、とりあえずなんとかしたいと思い、鹿革でくるんでカンガルーレースで編んでみました。
このフクロナガサは、必要な時にはハンドルの穴に木を刺して大物と戦う際には槍のようにして使うという事なので、その用途の邪魔にならない範囲で鹿革を当てています。
普段用途としては、主に草木の伐採という事なのでしっかりグリップできるように編みの場所を刃の側にしています。

レザークラフト的には、現物合わせで作ったので革と刃物とにらめっこしながら作り方を考えました。
一度、床革でざっくりとしたものを作ってみました。

この床革での試作をベースに、本番用の革に直接線を引いて制作しました。

この刃物を安全に使う為であったり、実際の使い勝手を想像しながら。
特に、この刃物の入り口にS字を入れた段差は、実用上必要かなと思う事から、この段差の高さを色々検討して決めたものです。
真っすぐに作るよりもこの段さを入れた方が、刃物の収納時に入れやすく、またケースに刃物を入れて歩くとベルトで押さえきれなく中で遊んでしまうのを避けるよう考えました。

一番厚い箇所で、革が5枚・厚さ約1cmというものでしたので、縫いを2列平行に。
さらに、この刃物によってナイフシースが痛む事が無いように収める時の入り口にはカシメを入れてます。
この約1cmのコバがすぐにボロボロになっては様に成らないので、出来るだけ堅牢な感じにしたく。

普通に、フノリでコバを仕上げた後に、アイロンでロウを染み込ませ、紙やすりを掛け、またロウを染み込ませって、何度もやってしっかりしたコバに仕上げました。

この同級生の友達の伊豆の家に先日お邪魔したのですが、自宅の前に自分が狩猟した毛の鹿革や鹿の頭蓋の骨や角とかあるんですが、きちんと自分が狩猟した鹿という生きていた動物に対する尊厳を持って接しています。

片や、レザークラフトを趣味としている僕ですが、製品として鞣された革を入手してモノづくりを楽しんでいるだけで、その生前の生き物として牛やその他動物に対して、同じような想いを持っているかというと、そこまでの思いは無くて。。。
色々と考えさせられる、僕にとってとても良い機会でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました